
前回のクリーニングを終え、今回はいよいよ台座の修復工程へと進みます。
とはいえ、すぐに修復に取りかかれるわけではありません。仏像を支える台座は、構造的にも重要な役割。
まずは設置部分の補強から始め、安定性を確保する必要があります。

・虫喰いと腐朽部分への対応
次に向き合うのは、台座の虫喰いや腐朽した箇所。指で押すと柔らかく沈む部分があり、木の繊維が弱っていることが分かります。こうした箇所には埋め木を施した後の木固めが必要です。
一般的には樹脂を用いる方法もありますが、今回は漆を選びました。漆は日本の伝統技法であり、木に深く浸透しながら自然な硬化を促します。何より、仏像にふさわしい素材として使われます。

漆による木固め
埋め木後、漆を用いて木固めを施します。漆が木の内部に浸透し、柔らかくなった部分をしっかりと補強します。
錆漆の調合と素地調整
特別な割合で調合した錆漆を用いて、錆付けと素地の調整を行います。この工程では、台座表面の凹凸を整えていきます。

湿度管理と乾燥
漆は湿度に敏感な素材です。乾燥には一日以上を要するため、湿度を調整しながら静かにその時を待ちます。まだ湿度が低いので湿度を上げて乾燥します。
当工房は故人宅のお客様からお寺様まで幅広くご依頼があります。
気軽にお問い合わせください。
次回もよろしくお願いします。
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