令和6年能登半島地震により損傷を受けた数多くの仏像たち。
その尊いお姿を守るため、私は文化財レスキューの一員として現地に赴きました。

崩れ落ちた台座、砕けた光背、傷ついた仏の表情──
ひとつひとつに祈りを込め、丁寧に手を添えながら、再び元の尊厳ある姿へと蘇らせました。
本体の破損
手と胴体足が分離している状態でした。顔も落ちた衝撃で傷がついていました。

台座の破損

組み上げるとこうなります。

光背の破損

接着には膠(にかわ)を使用。伝統的な素材ですが、その日の気温や湿度にあわせて調合を微調整する必要があり、まさに“生きている素材”と向き合う作業でした。

接着には膠(にかわ)を使用。伝統的な素材ですが、その日の気温や湿度にあわせて調合を微調整する必要があり、まさに“生きている素材”と向き合う作業でした。

そこに宿る人々の信仰と祈りの歴史を、未来へと手渡すために。
震災の被害を受けた土地に、ほんのわずかでも心の灯がともることを願って、この救いの作業に携わることができたことに、深い感謝を覚えています。
当工房では地震以外の破損修理のご依頼も承っております。気軽にご連絡下さい。