能登半島地震とレスキュー文化財展

 

当工房でも文化財レスキュー活動に取り組んでいることもあり、先日「レスキュー文化財展」を拝見しました。

 

過去の文化財レスキューの記事はこちらをご覧ください。過去記事はこちら

 

 

 

被災地から救出された仏像や絵画、民具の数々には、土や水の痕跡が残りながらも、確かにそこに「祈り」や「記憶」が息づいていました。  

それら一つひとつに、学芸員の方々の丁寧な言葉が添えられていて、展示空間にはいつもとは異なる静かな緊張感が漂い、自然と足が止まり、心が深く沈潜していくような時間となりました。

 

 

文化財とは、ただの「もの」ではなく、人々の願いや暮らし、時代の声を宿した存在なのだと、改めて感じさせられます。  

この展示は、文化財を「守る」という行為が、いかに人の営みと深く結びついているかを教えてくれる貴重な機会でした。

 

私の仕事においては、次の世代へ技術と想いを受け継いでいくことを、何よりも大切にしております。  
今回の展示では、学芸員の方によるご案内を通じて、作品を「繋いでいく」という視点を改めて感じることができました。  
その眼差しに触れたことで、ものづくりに対する自分自身の姿勢にも変化があり、より深い意識で制作に向き合うようになりました。
 

 

金沢市近郊の皆さま、もしご都合が合えば、ぜひ足を運んでみてください。  

静かに語りかけてくる展示品たちが、きっと何かを残してくれると思います。

 

今月も、私たちの工房では文化財レスキュー活動の予定が入っております。  

微力ながら、守り継ぐ手のひらの一つとして、心を込めて取り組んでまいります。  

祈りのかたちが、次の世代へと静かに手渡されていくように。