2025年
5月
31日
土
5月31日 能登半島地震による仏像の応急処置活動

当工房では国の文化財レスキューによる仏像の応急処置活動をしています。
主に能登半島地震によって破損した仏像になります。

今回は阿弥陀如来立像の応急処置になります。
破損した部分を丁寧に確認し、仏像本体へ負担をかけないよう慎重に補修を進めます。
文化財保存の観点から、一時的な補強でありながらも将来的な本格修復に支障をきたさない方法を選択しました。

2025年
5月
26日
月
職人 工房体験見学
遠くアメリカから、お客様が訪問。
日本文化に深い興味を持ち、熱心に質問をしてくださり、伝統の魅力を語り合うひとときは本当に貴重でした。

仏像彫刻の技法や歴史、どのように現代と融合しているのか、日本の職人の考え方や価値観についてなど、様々な視点から話が盛り上がりました。
実際にお会いできた喜びと、このご縁に心から感謝します。
工房に入ると、広がるのは木の香りと仏像。
ここでしか味わえない空間ですと言っていただけました。
「仏像ってどうやって作るの?」
「職人さんのこだわりって?」
そんな疑問を直接聞いて、文化の奥深さに触れる事が出来た様です。

工房見学は予約制なので、その際はご連絡下さい。
2025年
5月
08日
木
仏像の台座彫刻—蓮台の彫刻
蓮台と蓮弁
今回のご依頼は虚空蔵菩薩像です。その台座となる蓮台についてご紹介します。

蓮台は、蓮の花を模した台座です。蓮の花びらは蓮弁(レンベンと呼ばれ、仏像彫刻では一枚一枚を個別に作る方法と、角材から直接彫り出す方法があります。今回は、一枚ずつ作り、組み立てる手法を採用しました。
蓮弁の組み立て
蓮台は1段につき9枚の蓮弁で構成され、5段あるため合計45枚になります。これらをダボで組み込みながら極力、接着剤は使用せず、将来の修理が可能な仕様にしています。

まず、1段目の蓮弁をダボで固定。
2025年
4月
23日
水
虚空蔵菩薩 宝剣の意味

虚空蔵菩薩像の持つ剣は宝剣と言います。(画像 制作中の仏像)
仏教における深い象徴性を持つ重要な要素ですので仏師目線から詳しく説明させていただきます。
宝剣とは
煩悩を断ち切り、智慧を授ける力を象徴しています。

虚空蔵とは
虚空蔵菩薩の「虚空」は広大な宇宙、無限の空間を意味し、「蔵」は蓄え、包み込むことを意味します。
つまり、虚空蔵は広大な宇宙のように無限の知恵と福徳を蓄えを意味します。
虚空蔵菩薩は広大な知恵と福徳を持つ菩薩であり、その右手に握られた宝剣によって煩悩を断ち 智慧を授ける仏像です。
また、宝剣は単なる武器ではなく真理を切り開き、悟りへと導く道具としての役割も果たします。仏教美術 密教の宝剣として有名です。
この剣は、修行者が正しい道を歩むための指針となり、仏法を守る力を表現しています。