2025年
1月
14日
火
不動明王の剣と縄(羂索)の意味
今回は不動明王像の剣と縄についての説明です。
不動明王像は右手に剣、左手に羂索(けんじゃく)という縄を持つのが一般的です。
この剣は決闘する為の武器に見えますが実は違います。
剣は密教法具の三鈷杵の形に象った柄をつけた剣が一般的です。
また仏教では三鈷杵は魔を打ち砕く力を秘め、厄災や煩悩を払う法具として用いられています。
この不動明王の剣も人々の煩悩や厄災を断ち切るものと言われています。
ご依頼を頂いた不動明王の剣も三鈷剣をベースにオリジナルの要素を加えた形になっています。
既製品のものと違う手彫りの一品ものになります。
2024年
12月
31日
火
不動明王像の台座の意味
仏師の坂上俊陽です。
現在、不動明王像の岩座を彫っていますので、そちらについて説明していこうと思います。
・不動明王像の台座は主に2種類。
岩座(いわざ)と瑟瑟座(しつしつざ)に分けられます。
•岩座は盤石(ばんじゃく)ともいい、不動を象徴した堅固な様子を表しています。
岩座の不動明王は大磐石という大きな岩に座っている又は立っています。(ここでは座っている状態を例にして説明します。)
「盤石」の意味は「大きい岩で極めて堅固なこと」
不動明王が固いダイヤモンドのような堅固な大きい岩に座っている状態は人々を救おうという固い意志を象徴しています。
この事から盤石は「非常に堅固で揺るぎない様子
」として日常的に使われています。
もう一つの台座は瑟瑟座(しつしつざ)と言います。
こちらも堅固不動の意味を表しています。
2024年
12月
28日
土
仏師 坂上俊陽 年末のご挨拶
年末のご挨拶
今年もお世話になりました。
令和6年は私にとって激動の1年でした。色々あった1年を総括していきたいと思います。
・正月に起きた能登半島地震
子供と公園で遊んでいる時に小さな縦揺れが起きる共にその後大きな横揺れが起きました。
緊急アラームが鳴り津波の警戒連絡が来ていました。あいにく高台にいたので大丈夫でしたが金沢から車で2時間ほどの能登半島は大きな被害が出ていました。
今年は能登の復興支援として仏像の応急処置活動に尽力を尽くしました。
多くの方やお寺様から支援金をいただき活動する事が出来ました。ありがとうございました。
詳しくはこちらをご覧ください。 ブログはこちら
・工房の改装
当工房も地震の被害をうけ工房を少し改装する事にしました。
展示スペースを設け海外の方向けのワークショップも行えるようにしました。
2024年
12月
25日
水
仏師が彫る木彫りの阿弥陀如来坐像
今回は個人のお客様からのご依頼です。
阿弥陀如来坐像の念持仏になります。
阿弥陀如来とは
人々をあらゆる苦難から救い、極楽浄土へと導くとされています。
念持仏や仏壇に入れるお客様が多いです。
また仏像を見る際に手の形に注意してみてください。手の形ちは二つの指で輪っかをつくるようにします。
釈迦如来坐像は見た目が似ていますが手は輪っかをつくっていません。お求めの際はお気をつけください。
今回、紹介する阿弥陀様の使用する木材は木曽檜になります。
普通の檜と違い木目も細かく質感も良いものになります。木目が荒いと木の線が顔に出ているように見えてしまいます。
2024年
12月
04日
水
能登半島地震による仏像の応急処置
当工房は半年前から能登半島地震で破損した仏像の応急処置活動をしています。
先月まで穴水町に行っていましたが、そちらは全て終わり、今回は七尾市のお寺様になります。
御住職から許可をいただきましたので、その様子を少し紹介したいと思います。
こちらは地震で破損した仏像の一部。
破損した仏像を見ながら段取りを決めていきます。今回は1人なので要領よく進めていかないといけません。
午後から違う場所の応急処置予定がありますので間に合うように考えていきます。
接着は膠を使います。
膠は後に修理をする際に剥がしやすいので今後のことを考えて使用します。
膠は固形のものを湯煎して刷毛で付け貼り合わせます。その後圧力をかけていきます。
冬場は直ぐに乾いてしまいますので膠を調整していく必要もあります。
また圧力のかけ方も少しコツが必要です。